子供はノロウイルスにどのように感染するんですか?
集団感染が主ですが、家族間での感染もあります。
大人だと、例えばカキを食べてとか、食品を通じてというのが多いのですが、子供に関しては食物からの感染はあまりないです。多くが友達や集団生活から感染する。だから、どこかで感染がポッと起きると、集団で発生する傾向にあります。
家族間での感染もあります。コロナウイルスの流行で「トイレ流す時は蓋を閉じてください」というのが広まりましたね。家庭のトイレは共同使用するためウイルス感染の場になりやすいのです。普段から、できればタオルの共有を避け、トイレの蓋を閉じてから流すように習慣づけておきたいですね。
また、ノロウイルスは、流行り出したら個々人では気をつけようがない。だから、冬期には、流行状況を把握しておくことが大切です。
流行の兆しを知ったときに、保護者ができることを教えてください。
家の換気をすること、それから手洗いをすることです。
実は、ノロウイルスで予防につながるリストはあまりありません。流行期は、帰宅したら、家の換気をすること。それに必ず手洗いをすることです。加えて普段からの習慣として、トイレの蓋をして流すことなどでしょうか。
-
1
窓を開けて換気
-
2
手洗い
-
3
蓋を閉じたトイレ
ノロウイルスに罹患した際の症状と、対処方法を教えてください。
腹痛、下痢、おう吐が症状です。対処は経口補水液で脱水が進むのを止めることです。
人によって様々ですが、腹痛、繰り返す下痢やおう吐が主な症状です。そうした症状が現れた場合は、1回5mlぐらいの経口補水液をちびちび少しずつ摂らせること。目安は、ペットボトルのキャップ1杯分ぐらいです。
原則は感染性腸炎と思われる症状が始まったら、すぐに経口補水液を飲ませること。子供が、下痢やおう吐をしていても、とにかく経口補水液を使った経口補水療法を始めるべきです。ただし少量ずつ頻回で。
通常おう吐は一日で治ります。まず一日でおう吐が治まるまでは脱水にならないように、経口補水液をちびちび摂らせてしのいでいく。下痢は長い人だと2週間続きますが、この間も、おう吐がなければ、経口補水液は下痢で出た分だけ摂ると覚えてください。食事は制限する必要はないので、年齢相当の食事を摂ってもらっていいです。
もう基本的には、ノロウイルスなどからの急性胃腸炎は、脱水症になるのを防いで、自然治癒を待つというのが原則です。経口補水液を摂っていても脱水症の症状がありそれが改善しない場合には点滴が必要になってきます。その際は病院へ相談していただくことになります。
下痢をしても水分を摂るという、新しくなった常識を覚えてもらう/ほしい
残念なことに、以前はおう吐すると水分を摂ってはいけないと指導されていた時期がありました。おう吐をしたときに、その分の水・電解質を摂らないと、とくに子供は細胞の関係で水分の回転が速いですから、脱水につながってしまいます。そこに下痢も乗っかってくると、出ていく水・電解質の量もさらに増えてくる。
感染性胃腸炎による水や電解質の喪失に加えて、人が生きていくうえで必要な、代謝による水分の入れ替わりも普段通り続きますし、脱水になるリスクは高まってしまいます。
おう吐や下痢をしているときに摂る水分は、経口補水液です。経口補水液を少量、頻回で摂ること。経口補水液には、十分なナトリウムとともに、便に含まれる排泄量を考慮したカリウムも含まれています。下痢やおう吐による脱水の改善に有用なものです。
家庭で、子供がおう吐や下痢をした場合、保護者がとるべき行動は?
大切なのは換気。次亜塩素酸とゴム手袋、ビニール袋は常備したいですね
実際に家族がおう吐や下痢をした場合は、消毒も処理の際に大事です。ノロウイルスはアルコールでは死にません。次亜塩素酸ナトリウムじゃなければ死なない。ただ、家中を次亜塩素酸で消毒するのは、まず無理なので、吐瀉物や便で汚れたりしたものは、0.02%次亜塩素酸ナトリウムでふき取り、ちゃんと適切な処理をすることです。
ゴム手袋などを使って、まず吐物などの汚れた衣服や汚れがついた家庭内のものを、一回全部ビニール袋に入れてほしい。密閉したビニール袋にまとめて入れておき、天気のいい日にまとめて洗濯しましょう。
0.02%に薄めた台所用漂白剤(塩素系漂白剤、キッチンハイターなど)の次亜塩素酸で消毒できる場所は、消毒できる範囲で消毒し、その際に使った雑巾についていたウイルスはもう死んでいると思いますので、洗濯するなり捨てるなりしてください。
すぐに対処ができるように家に常備しておきたいのは、手袋、ビニール手袋、マスク、経口補水液です。清掃用具がセットになったものも販売されていますので、常備しておくこともお勧めします。経口補水液は脱水症の治療という意味で。夏場の熱中症にも使えるので、1~2本は必ず常備しておいたほうがいいと思います。
あとは、部屋の換気です。すぐに窓を開けて、寒いけれどしばらく開けておくこと。ノロウイルスが付着して乾燥するとまた舞い上がってきます。その舞い上がったノロウイルスでも感染します。
また、兄弟姉妹がいたら極力、おう吐した場所から隔離する、離して、そこに近づかせないようにすること。マスクをして過ごすのもいいでしょう。
保育園や幼稚園など、集団生活の場で知っておくべきことは?
適切な消毒と隔離、そして経口補水液の常備です。
保育園・幼稚園では、ノロウイルスからのおう吐を処理する道具が備えられているはず。その手順に沿って処理をしたら、子供たちを他の空いている教室など別のところに移してもらう。
そのときの子供の状況にもよりますが、例えばお昼寝中とかにおう吐したら、吐いた物をのどに詰まらせないように横向きにしてあげることは大事。その上で、吐物の処理です。処理したものを吐瀉袋などで隔離して、その場を次亜塩素酸で消毒する。決められた手順で行ってください。
ただ、ノロウイルスはおう吐とか下痢の症状が良くなっても、長い人だと1カ月とか2カ月、便に排せつされると言われています。だからこそ、常に便にはウイルスが混じっているものだと思って、ノロウイルスが流行していないときでも同じように処理しなくちゃいけない。そこの処理が甘いと、他の子たちにうつしてしまう可能性が出てきます。子供たちにも、普段からトイレは必ず閉じて流すという習慣をつけさせてほしいと思います。
対処は経口補水液ですから、保育園や幼稚園にも常備しておくことを勧めています。経口補水液で症状が治まっていくようだったら救急へ行く必要はないです。実際に摂らせると良くなる子はすぐ良くなります。それこそ5分とか10分ぐらいで少し良くなりましたっていう子供も多いです。
改善がなければ、医療機関への受診をお勧めします。ただ、吐物の色が、黄色とか緑の場合は、胃液じゃないので、救急を受診してください。それらは、十二指腸から出てくる十二指腸液で、胆汁です。普通は胃に逆流してくることはなく、腸閉塞(へいそく)など問題が起きているときに逆流してきます。そんな場合は、救急受診をお勧めします。
保護者が、普段から子供たちに教えておくべきことはありますか?
ペットボトルの回し飲みをやめさせてください。
手洗いと便器の蓋をして流すことの習慣化以外では、子供がよくやることで、ペットボトルの回しのみを止めさせる。子供って親しくなると「一口ちょうだい」みたいなことがある。これを普段から、止めるように伝えましょう。また、保育園・幼稚園では食器の共有もやめていただきたいですね。習慣を変えることで、感染のリスクを下げることにつながります。
脱水対策課レポート