十河先生、子供は熱中症にもなりやすいってことですか?

十河先生、脱水しやすい子供は、熱中症にもなりやすいのでしょうか?

子供は小さなやかんで水を沸かすようなものです。

子供は小さなやかんで水を沸かすようなものです。

暑い季節には、子供の場合、脱水が進むというより、身体からどんどん水分が抜けていくと考えましょう。その分の水分を補給していないと、もう汗を出して身体を冷やす役割もある水分が足らなくなってしまいます。身体が冷えなくなると熱中症を発症しやすくなってしまいます。

また、子供は、身体が小さいので、体重当たりの体表面積が多くなります。だから、熱の影響を受けやすいです。小さなやかんで水を沸かすみたいなイメージです。同じ暑熱環境で、大人の大きなやかんは、まだ熱くなっていなくとも、子供の小さなやかんでは、あっという間にお湯が沸く状態。

だから、体温が上がりやすいし、脱水状態なのに水分が補給されないと十分な汗がかけなくなる。その結果、熱中症になりやすいのです。

暑熱期に子供が脱水になる場合に、どういう兆候があるのでしょうか?

まず、夏場などのサインとその対処法について話しましょう。

まず、夏場などのサインとその対処法について話しましょう。

子供の場合、暑熱期に汗をかいての脱水なら、次の5つがすぐに挙げられます。

暑熱期、汗をかいている子供の脱水サイン

  • ① 顔がまず真っ赤になってくる

    顔が真っ赤になる様子
  • ② 顔が真っ赤になってふらふらしてくる

    ふらふらする様子
  • ③ 少し大きくなった子供なら「頭が痛い」と自覚症状がある。

    頭が痛い様子
  • ④ 赤ちゃんの場合は、最初に元気がなくなる。

    元気がなくなる様子
  • ⑤ 症状が進むのが急で、いきなり吐く子もいる。

    吐く様子

対処としては、まず身体を冷やすこと。それから涼しいところへ連れて行き、水分をしっかり摂らせてあげることですが、この際の水分は、水ではなく電解質が入ったものを摂ることです。汗の中には電解質が含まれているからです。

汗が止まらない、フラフラするなど、熱中症の症状が出ている時には、やっぱり経口補水液です。ちょっと顔が火照って赤いぐらいだったら、スポーツドリンクで十分だと思います。でもまずは、身体を冷やすことが重要ですね。

 

暑熱期に、子供たちを活動させる際、保護者や指導者がやるべきことを教えてください。

水分補給と暑さ指数による判断です。

水分補給と暑さ指数による判断です。

とにかくこまめに水分を摂らせること。それから暑さ指数による判断が大事だと思います。ただ、天気予報の暑さ指数も参考にはなりますけど、あれは観測地点だけの話、そして計測は日陰でされているんです。

だから、スポーツや屋外で遊んだりしているような場合は、その指導者や保護者の方が、本当は熱中症指数モニター(黒球式熱中症指数計)で、その現場の暑さ指数を測った方がいい。今だと手に入りやすくなって、Amazonでも数千円の簡便なものから高いものでも2万ぐらいで買えるので、できるだけ活用してほしい。そんな時代になってきています。

保護者や指導者が、注意していても陥りがちなことってありますか?

止める勇気が必要。子供は頑張りすぎる時があることを知っておく

止める勇気が必要。子供は頑張りすぎる時があることを知っておく

スポーツの試合とかだと、フラフラして熱中症の症状が出ているのに競技を継続させちゃう指導者がいらっしゃいます。「大丈夫だな?」って聞くと、「大丈夫です」と子供が答える。すると続けさせてしまうのです。

子供は、頑張るんですよ。特に団体戦だと、やっぱり責任感を感じているということもありますよね。指導者側も、ここで引っ込めたら、「子供たちが挫けたり、成長しないんじゃないか…」みたいなことを考えてしまいがちです。

 

でもこれは危険です。その後に何かすごく重篤な症状が出ることがある。子供の気持ちを思うことは大切なことですが、そのために子供にリスクを負わせる可能性があることを十分認識すべきです。

基本的に熱中症の症状が出たら、そこで競技はストップしてほしい。とにかく涼しいところで冷やして水分補給などの対処です。また、そもそも熱中症を起こさないように、ちゃんと暑さ指数をしっかり管理してほしいですね。

フラフラしている子供を日陰で冷やす場合、身体のどこを冷やすのですか?

手、首、脇の下など、太い血管を冷やします。

手、首、脇の下など、太い血管を冷やします。

一般的には首や脇、内股などの太い血管の箇所だと言われています。最近は、手を冷やすのもいいと勧められています。手は扱いやすい箇所だし、血流が多いので手を氷に漬けたりするなどもいいですね。

コンビニで、氷やペットボトルのよく冷えたものを買ってきて、握らせて手を冷やす。出来ればあらかじめ準備しておくくらいの対策が必要です。最近だと夏には凍らせたペットボトルがコンビニなどで売っています。あれは便利だと思います。

熱中症のときの経口補水液の飲み方はどうでしょう。

暑熱期については、まずグビグビ、それからちびちびです。

暑熱期については、まずグビグビ、それからちびちびです。

意識があって、おう吐がなければ、まず脱水の改善が目標ですから、最初は飲めるだけ。一気飲みでいいと思います。子供なら、250ml程度をできるだけ早く飲んでいいです。子供はすぐに症状に変化が見られますから、少し改善したら、あとはゆっくりちびちび、回復して通常の食事に戻れるまで摂り続けると覚えてください。

子供の場合、経口補水液を摂り、身体を冷やしたときの効果は速いですよ。大人と比べたデータは持っていませんが、身体が小さい分、冷えやすい。子供は、悪くなるのも速いし、良くなるのも速いのです。周囲は慌てないで適切な対処をすることです。

熱中症はいったん回復しても急激に悪化するケースがあるため、決して一人にせず付き添って経過観察をしてください。また、改善が見られなかったら、すみやかに救急搬送することをためらわないで欲しいです。

十河剛<span>先生</span>先生

十河剛先生先生

一般社団法人日本メディカルNLP&コーチング協会理事長
社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科