経口補水液をもっと知ろう
経口補水療法はもともと開発途上国で生まれたこれらの治療法。いまでは、脱水症が関与するさまざまな疾患に使われ、世界中で多くの人々の健康を維持しています。
簡便に、迅速に補給できる「いのちの水」として生まれた飲料
1971年の東パキスタン(現バングラディッシュ)は内戦状態で、インドの難民キャンプでは3人に1人が死亡するほど、コレラが猛威をふるっていました。
下痢(コレラの便はナトリウムイオンを多量に含む)による脱水症がその大きな要因で、このときにカルカッタのジョンホプキンス大学研究所から経口補水液を持った医療班が救助に向かいました。この医療班は3,700人の患者に経口補水療法を実施し、コレラによる死亡率を30%から3.6%にまで劇的に改善させています。
このときから、経口補水療法は世界中で注目され、“20世紀最大の医学上の進歩”とまで呼ばれ、WHO(世界保険機構)の集計によれば、年間100万人の小児がこの療法による恩恵を受け救命されています。
80%の水分吸収をする小腸の働きを活かした飲料
水分と電解質は、口からカラダの中に摂り入れると食道・胃を経て小腸へ移動します。体内での水分吸収の80%が小腸でおこなわれています。小腸では、糖分が電解質であるナトリウムイオンなどと結びついて一定の働きをし、その結果として水分が身体に吸収されます。これはナトリウムイオン・ブドウ糖共輸送機構と呼ばれる小腸の重要な働きで、この働きは下痢をしていても正常に作動することが最近分かってきました。
経口補水療法に使われる経口補水液は、小腸からの身体への水分吸収を考え、水に塩分などの各種電解質がバランスよく配合されています。スポーツ飲料などと比較する塩分(ナトリウムイオン)が多く糖分が少なめの処方となっています。一般的には、あまり美味しい飲料ではありません。しかし、場所を選ばず、簡便に口から摂取できる飲料によって、小腸で水分と電解質を体内吸収させるには、ブドウ糖とナトリウムイオンの割合バランスがとても大切で、その濃度比率が2:1を超えない組み合わせから生まれるこの味が良いのです。
| 成分 | ナトリウム (mEq/L) |
カリウム (mEq/L) |
クロール (mEq/L) |
炭水化物 [ブドウ糖] (%) |
クエン酸塩 (mmol/L) |
浸透圧 (mOsm/L |
| WHO-ORS(2002年)※ | 75 | 20 | 65 | 1.35 | 10 | 245 |
| ESPGHAN※※ | 60 | 20 | 60 | 1.6 | 10 | 240 |
| 米国小児科学会※※※ 経口補水療法指針(維持液) |
40〜60 | 20 | 2.0〜2.5 | ⁂ | ||
| オーエスワン (オーエスワンゼリー) |
50 | 20 | 50 | 2.5 [1.8] | 15*(16.2*) | 約260 |
| スポーツドリンク※ | 9〜23 | 3〜5 | 5〜18 | 6〜10 | ||
| ミネラルウォーター※※ | 0.04〜4.04 | 0.04〜4.04 |
ところが、この美味しくない経口補水液が美味しく感じる時があります。そんなときは脱水症の疑いが濃厚。身体が欲しがっている水分ということなのでしょう。
脱水症を知ろう